【原典・翻案】
モーリス・ルブラン 作
小説「奇厳城」
【曲名について】
フランス語の「Aiguille creuse」のカタカナ読み。
奇厳城の原題がL'Aiguille creuse で、直訳すると「空洞の針」となるが、これは実在するフランスのノルマンディー地方にあるエトルタ海岸の「針の岩」を指している言葉である。
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【青空文庫・奇厳城(菊池寛訳)】
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 奇巌城 アルセーヌ・ルパン
主な登場人物
・アルセーヌ・ルパン:怪盗紳士
・イジドール・ボートルレ:17歳の高校生探偵
・ガニマール:パリ警視庁の警部
・レイモンド:ジェーブル伯爵の姪
・エルロック・ショルメ(※):イギリスの探偵
※エルロック・ショルメは、そのつづり(Herlorck Sholmès)がシャーロック・ホームズのアナグラムとなっていて、ホームズのことだと読者が推測できるようになっているそうです。ですが、日本語訳では再現できないため、翻訳者の判断で「シャーロック・ホームズ」としている場合もあるようです。
概要
フランス北西部のノルマンディーにあるジェーブル伯爵の屋敷に盗賊団が侵入し、伯爵秘書が殺害される事件が発生。そのとき、物音で目を覚ましたレイモンドと伯爵の娘シュザンヌは盗賊団を目撃し、レイモンドがそのうちのひとりの男を狙撃した。
翌朝、検事と判事、判事の書記、それに新聞記者と思われる青年が2人やって来て捜査を始める。だが、狙撃により倒れたはずの男はどこにも見つからず、また、客間の絵画はおろか、屋敷から盗まれたものは何ひとつないことが判明。さらに狙撃した男について、レイモンドは太った背の高い男だと言い、シュザンヌは中背で痩せすぎの男だったと証言するのだった。
そして、捜査をすすめる判事の元に「もし首領が死んだら、令嬢に復讐する。」とのメモが届けられた。
判事は、記者たちに身分証明の提示を求めた。ひとりは新聞記者だったが、もうひとりは身分証明を持たない、イジドール・ボートルレと名乗る休暇中の高校生だった。判事が詰め寄ると、ボートルレは事件は解決できていると言いだす。
そのとき、ボートルレに似た人物が、昨日屋敷の前をうろついていたのを見たとレイモンドが判事に告げる。判事は身分が証明できないとして、ボートルレを軟禁する。
その日の夜、銃声と共に屋敷の傍の農具小屋と僧院の2か所付近から火の手が上がった。屋敷の見張り以外総出で消火にあたり、屋敷に戻ると見張りが縛られ倒れていた。このことから、火事の隙に屋敷内に潜んでいた首領を助け出したのだろうと推測された。
翌日、ボートルレは身元が証明され解放されると、パリから捜査にやってきたガニマール警部たちに、客間の絵画はすり替えられた偽物で、伯爵はそれに気づいてると言う。また、殺された秘書は盗賊団の仲間で、伯爵が襲われた際に正当防衛により殺害したのであり、さらに、盗賊団の首領は有名な怪盗アルセーヌ・ルパンだと。ルパンはまだ屋敷近辺に潜んでいて、火事騒ぎは傷の手当てをさせる医者を呼び寄せるためだったと主張する。
事件から数日後、レイモンドが誘拐された。屋敷近くの道端に血だまりがあり、レイモンドの襟巻がそこに落ちていたことから、彼女は殺害されただろうとされた。判事はボートルレに、襟巻の傍に落ちていた紙片を見せる。それには文字や記号のようなものが一面に書かれていたが、その意味は全く理解できないものだった。
ボートルレは捜査を続け、屋敷から数十キロ離れた川の船頭が、大きな荷物を運ぶ依頼を6度も受けたと聞き、急いで屋敷に戻る。屋敷の礼拝堂に向かうと、飾られている彫刻を次々と叩き壊す。それはすべて中が空洞の石こう細工の偽物だった。客間の絵画のみならず、礼拝堂の中の価値のあるもの全てが偽物にすり替えられていたのだ。そして、礼拝堂の地下室では、目鼻も分らないほど頭が打ちくだかれ、腐れた肉が衣服からこぼれ落ちている死体が見つかる。判事は死体はルパンであると結論づけるのだった。
そして、判事宛に二通の手紙が届く。ひとつは伯爵が依頼したイギリスの探偵エルロック・ショルメが明日到着するという連絡で、もうひとつは、付近の海岸に女性の遺体が浮かび上った知らせだった。損傷が激しく顔は判別できないが、金の腕輪をつけているとのことで、レイモンドも金の腕輪を付けていたことから、遺体はレイモンドであると判断されたのだった。
ボートルレは判事から預かった紙片から、「マドモアゼル(令嬢)」、「クルーズ(空洞)」、「エギーユ(針)」という言葉を読み解く。その直後、判事の書記に扮した男が紙片を奪おうと襲い掛かってきて、ボートルレは怪我を負う。さらに、その翌日の新聞では、ガニマール警部の行方不明とエルロック・ショルメの誘拐が報道されていた。
ボートルレは一通の手紙を受け取る。手紙に書かれていた場所へ向かうと、そこにはルパンがいた。ルパンは、紙片から読み取った内容のことは忘れて、礼拝堂の死体はルパンであったと公表するよう要求する。でなければ、ボートルレの父親を誘拐すると脅すのだった。ボートルレは、ルパンの要求を呑むと告げその場を立ち去る。
はたして、翌日の新聞にはルパンの死ではなく、一連の事件の真相として次の内容が掲載されていた。
レイモンドは狙撃により怪我を負ったルパンをすぐに見つけていたが、彼が秘書を殺していないと訴えたことから、狙撃したことを負い目に感じて礼拝堂に匿った。
そして、ルパンの仲間に連絡して、医者を呼んだり薬や食事を運んだり、さらに嘘の証言をしたりして彼を匿い続けた。
その過程で、レイモンドに好意を抱いたルパンは、レイモンドを誘拐して死んだように見せかけ、自分も死んだことにしてしまおうと考えたのだ。
この日の夕方、ボートルレの父親が誘拐される。手がかりを知る老人の後をつけていたボートルレは、同じく老人を尾行する男に気づく。ボートルレは男を追いかけ、男が古い城へ入っていくのを確認した。そして、その城の名前が「エギーユ城」で、所在地が「クルーズ県」だと知り、紙片の内容に合致することから、父親の監禁場所がその城だと推理する。
ボートルレは城の持ち主で、パリに住むバルメラ男爵に会いに行く。男爵は城をある男に貸していると言い、その男の風貌を聞いたボートルレは、それがルパンだと確信する。事情を打ち明け、男爵の協力を得て城に忍び込むと、父親を救出し、同じく監禁されていたレイモンドも救出した。
数日後、ガニマール警部とショルメが解放された。さらに、バルメラ男爵とレイモンドが結婚することになり、これにはルパンが黙っていないだろうと皆が心配するが、無事に結婚式はとりおこなわれる。そして、ボートルレの勝利、ルパンの敗北が世間に印象付けられたのだった。
ある日、新聞にマッシバンという博士が書いた「エギーユ・クルーズの秘密」についての記事が掲載された。
フランス国王ルイ14世の時代、ある青年が宮殿を訪れ「エギーユ・クルーズの秘密」という本を大臣たちに配りはじめた。すると、青年は取り押さえられ、配られた本はおろか残りの本も全部回収された。実際は、ある大臣が一冊隠し持っていたのだが、それに気づかないルイ14世は自分の手元に一冊だけ残し、すべて燃やすよう命令した。そして青年は牢屋で一生を過ごすことになった。
「エギーユ・クルーズの秘密」はフランス国王に代々伝わる、巨万の宝物の隠し場所を教え伝える本だったのだ。
ルイ16世は、革命により投獄された際に、本に書かれた暗号を書き写した紙片を牢屋番に預け、自分が死んだらこれを女王に渡してほしいと頼み、本を焼き捨てた。ルイ16世の処刑が執行されると、牢屋番は女王マリー・アントワネットに紙片を渡す。女王はそれを聖書の間に隠し、彼女もまた処刑された。
その後、フランス中央部に「エギーユ」と呼ばれる城が発見されるが、それはルイ14世が「本当の」エギーユ・クルーズから人々の目を逸らすために築いたもので、数百年の時を経た今、高校生探偵のボートルレ君はそれに引っ掛かったのだ。ルパンは全てを知り、ボートルレ君を欺くためにルイ14世の策略を利用したのであり、現代において「エギーユ・クルーズの秘密」を知るのは、おそらくルパンただ一人だろう。
ボートルレは自分の敗北を悟るとともに、新たな謎に挑みはじめる。
「エギーユ・クルーズの秘密」は二冊残された。一冊は大臣が隠し持ち、もう一冊はルイ14世の手元に。おそらくそれが、ルイ16世により焼き捨てられ、暗号を記した紙片が女王に渡され、聖書に隠された。ボートルレは博物館に保管してあるという聖書を確認しに行く。聖書にはやはり紙片が挟まれていたが、そこにはアルセーヌ・ルパンとサインが書かれていた。ルパンはとっくに本物の紙片を手に入れていたのだ。
ある日マッシバン博士からボートルレ宛に手紙が来た。それによると、本を隠し持っていた大臣の子孫はヴェリンヌ男爵であり、一緒に男爵を訪ねようとの誘いだった。男爵家を訪れると、そこに「エギーユ・クルーズの秘密」は存在していたが、肝心な暗号に関するページが破り取られていた。それはマッシバン博士に化けていたルパンの仕業だったのだ。
ボートルレは「エギーユ・クルーズの秘密」に関わる過去の事件をすべて調べた。そして、それらがノルマンディー地方に集中していることに気づき、ノルマンディーへ戻る。そこで、偶然ショルメに会う。彼はルパンを捕らえるために、ルパンの乳母を見張っていた。
ボートルレはノルマンディーの海岸を探索しているうちに、暗号の一部と一致する文字が岩に刻まれているのを発見し、さらに”令嬢の部屋”と呼ばれる洞穴を見つける。そしてその近くには”針”のような形の巨大な岩が海中から突き出ていた。その岩の頂きあたりからは一筋の煙が立ち上っていて、内部に人が住んでいることを物語っていた。
これをきっかけに、紙片の暗号すべてを解読すると、そこには岩の内部への侵入経路も記されていた。
ボートルレは警察に応援を求めた。ガニマール警部たちが駆け付け、岩の周囲にたくさんの警官を見張りに立たせ、岩を取り囲む海にも12隻もの船が待ち構えている状態で、ボートルレとガニマール警部、数人の警官が一斉に岩の内部へ突入した。
階段を昇っていくと、途中で分かれ道が現れた。一方の道をボートルレが確認のため進んでいくと、やがて部屋に辿り着く。部屋に入ると、そこには3人分の皿が用意されたテーブルがあり、座席には名札が用意されていた。ひとつめは「アルセーヌ・ルパン」、次は「アルセーヌ・ルパン夫人」、そして3つ目は「イジドール・ボートルレ」だった。
そのとき、部屋を仕切るカーテンの裏からバルメラ男爵とレイモンドが現れ、ボートルレは驚愕する。バルメラ男爵がルパンだったのだ。さらに、レイモンドは自分がルパン夫人であることを理解している。 2人はお互いに惹かれあい、レイモンドはルパンの作戦に乗って誘拐されたふりをして、ルパンと結婚したのだった。
ガニマール警部たちが、待ち切れずに昇ってきている音が聞こえてくる。ルパンはレイモンドをカーテンの奥へ出ていかせると、ボートルレを上階へ案内する。そこにはルパンが今までに盗んだ名画や時計などが飾られていた。そして、岩の最上部と思われる部屋には金の王冠や宝石が保管されていて、部屋の床下にはフランス王家の財宝が隠されていた。
だが、ルパンはフランス王家の財宝には一切手を付けていなかった。ルパンはレイモンドと結婚したことで、今までの生活を捨てることを決心していた。そして、「エギーユ・クルーズ内の宝物のすべてをフランス国家に贈る」と部屋の壁に記した。
直後、ガニマール警部たちが部屋に辿り着いた。ルパンはボートルレを人質に取り、潜水艇で脱出する。そして、自身が買い取った土地の港に到着する。ルパンはその地でバルメラ男爵としてレイモンドと生きていくつもりだと言う。
そのとき、ルパンの乳母を人質として捕らえたショルメが現われた。ショルメは乳母の額に銃口を突きつけていたが、隙を見て銃を取り出したルパンがショルメの拳銃を撃ち落とすと、ショルメの部下たちがルパンに襲い掛かる。そして、銃を拾ったショルメがルパンに向けて引き金を引いた。
しかしその銃弾は、ルパンを庇って前に出たレイモンドの喉元を撃ち抜き、レイモンドは絶命する。
呆然とするショルメに飛びかかり、首を締め上げるルパン。ボートルレが驚いて走り寄ると、ルパンはショルメから手を放し、突っ伏して声を殺して泣いた。
ほどなくして立ち上がったルパンは、レイモンドの亡骸を背に負い、ボートルレに別れの言葉を告げると、乳母と共に海岸の方へ去っていったのだった。
【MV】
www.youtube.com
【ひとりごと】
\(^o^)/ひゃっほーーーい(笑)
ルパンシリーズ大好きです。 昔々に、全制覇しております。
ホームズシリーズとルパンシリーズが、 唯一(二?)読破できている翻訳モノです。
大好き×大好きで構成された楽曲なので、 めっちゃテンション上がりまくりです。
・・・やばい。
ほんと嬉しい。
めっちゃカッコいいやん。
MVいい。
ケイがウインクしてるー。
やばいよ、やばいよ(www)
はぁ~、もう、ほんっとうに
ブラスタやってて
良かった(*ノωノ)♪