
※画像はイベント終了後に差し替え予定
【原典/翻案】
森鴎外作
小説「うたかたの記」
【あらすじ】
・巨勢(こせ):日本人画学生
・マリイ:美術学校でモデルをしている少女
・エキステル:ミュンヘンの美術学生
・ルートヴィヒ二世:バイエルン国王
ドイツ・バイエルン王国の首府ミュンヘンにある美術学校には、各国から芸術家を目指す若者が通う。その学校の向かいのカフェ「ミネルヴァ」に二人の若者が入っていった。ひとりは美術学校の学生のエキステル、もう一人は巨勢という日本人の青年で、二人はドレスデンの美術館で出会うと意気投合し、ミュンヘンに戻るエキステルと共にやって来たのだった。
エキステルの仲間が集うテーブルに着くと、皆が巨勢にミュンヘンへ来た理由を尋ねた。
六年前、巨勢はドレスデンの美術館へ向かう途中にミュンヘンへ立ち寄り、籠に入れたスミレの花を売って歩く少女と出会った。巨勢はその美しい顔立ちが忘れられず、少女を描くことにした。ミュンヘンに来たのは、美術学校のアトリエを借りてその作品を完成させるためだった。
すると、テーブルにいた十七、八歳ぐらいの少女が、自分がその時の少女だと言い、嬉しそうに巨勢の額に口づけをした。周囲の学生たちが冷やかすと、彼女はコップの水を口に含んで彼らに吹きかけ、そのまま店を出ていった。彼女の名前はマリイといい、美術学校のモデルをしているのだが、学生たちの間では彼女は狂人とされていた。
エキステルを通してマリイにモデルを依頼した巨勢は、自分のアトリエを訪れた彼女に描きかけの作品を見せ思いを伝えた。そのまま会話を続けるうちに、マリイが自身の生い立ちについて語り始めた。
マリイの父は高名な画家のスタインバハであった。父はバイエルン国王ルートヴィヒ二世に目をかけられいたが、王宮の宴に招かれた際に国王から言い寄られ困っている母を助けようと国王を押し倒したため、打ちすえられて大怪我を負った。そのまま王都を離れて暮らすようになったが病気で他界。母も病に倒れ、生活のためにスミレの花を売っていた時に巨勢と出会っていた。そして母が亡くなり、最初に引き取られた家で襲われ逃げ出し、スタインベルヒ湖の漁師に助けられると、そのままその家の養女となっていた。そして、父のように美術を学ぶためミュンヘンに出てモデルとなったが、都会で身を守るために狂ったふりをしていると巨勢に明かした。
巨勢はルートヴィヒ二世が暴政を行うようになり、現在はスタインベルヒ湖近くのベルヒ城に幽閉されているとの新聞記事を思い出した。
マリイに誘われスタインベルヒ湖を訪れた巨勢。湖の周囲を散策し湖で小舟に乗った。湖畔の村外れまで漕ぎ寄せたとき、岸辺には国王の姿があった。マリイの母への叶わぬ恋に狂った国王は、舟に乗るマリイに愛しい女性の面影を見つけ、舟に近づこうと湖に足を踏み入れてきた。マリイは恐怖のあまり気絶して湖に落ちてしまい、杭に胸を打ち命を落とした。そして国王も助けに入った付き添いの侍医もろとも湖に沈んでいった。
ミュンヘンでは湖で溺れなくなった国王の話題で持ちきりとなる。そんな中、巨勢の姿が見えないことを心配したエキステルがアトリエを訪れると、やつれた姿で描きかけの絵の前で蹲っている巨勢を見つけたのだった。
【青空文庫】
森鴎外 うたかたの記
【参考:現代語訳を公開されているサイトです】
・森鴎外「うたかたの記」 1
・森鴎外 現代語訳 うたかたの記 上
・【現代語訳】森鴎外『うたかたの記』(上)
【PV】
幕間イベントPV「Violet」 - YouTube
【歌詞】
(ゲーム内聞き取り)
僕らの 止まったままの記憶が
動き出す この瞬間から
どんな時も 描いていた
ただ 君だけを
[???]
あの日のまま 儚げで
(PVより)
癒えぬ傷を
癒すことができるかな
守るために
つけ続けた仮面を外して
今 誓おう
君が孤独を感じる日々は
もうどこにもないと
取り戻そう
あの日
(ゲーム内聞き取り)
落とした君と僕の心
いつも 繋ごう Violet