【原典/翻案】
アレクサンドル・デュマ・ペール作
小説「ダルタニアン物語」第1部「三銃士」
【「ダルタニアン物語」とは】
第1部「三銃士」:主人公の青年時代の物語
第2部「二十年後」:第1部の20年後の物語
第3部「ブラジュロンヌ子爵」:第2部の10年後の物語
の3部で構成される長編小説。
【「三銃士」概要】
・ダルタニアン:勇敢だが血の気が多く、思いつきで行動し失敗することが多い青年。
・アトス:三銃士のひとり。口数が少なく沈着冷静なまとめ役。
・ポルトス:三銃士のひとり。見栄っ張りでお調子者。
・アラミス:三銃士のひとり。女泣かせの美男子。
・リシュリュー:カトリック教会の枢機卿でありながら、政治家としてルイ13世の宰相を務める。
17世紀のフランス南西部の田舎町。ダルタニアンは、父の幼馴染であるトレヴィル伯爵が隊長を務める銃士隊に志願するため、紹介状を持ってパリへ向かった。
その道中、見知らぬ騎士たちと喧嘩になって叩きのめされ、さらに紹介状を盗まれてしまう。やっと辿り着いたトレヴィルの屋敷でも、銃士隊の三銃士として名をはせるアトス、ポルトス、アラミスの3人と些細なことで言い争いとなり、決闘することになる。
ところが、決闘の場に銃士隊と対立関係にあるリシュリューの護衛士たちが乱入してきた。ダルタニアンは銃士として戦い、勝利に貢献。これにより銃士見習いとなると、3人の銃士との間に友情が芽生えはじめた。
ある日、ダルタニアンの住居の大家が、アンヌ王妃のメイドとして働く妻のコンスタンスが失踪したとダルタニアンに相談する。コンスタンスは、王妃がイギリスのバッキンガム公爵と密会する際の手引きを任されていたため、王妃の家柄に不満を抱くリシュリューが、王妃失脚を狙いコンスタンスを誘拐したのだ。
ダルタニアンは三銃士と一緒に、リシュリューの陰謀を阻止すべく動き始めた。そして、コンスタンスを助け出したが、ダルタニアンは若く美しい彼女に恋心を抱くようになっていった。
ある日、ダルタニアンはアラミスの家から出てきた男とコンスタンスが一緒にいるところを目撃し嫉妬するが、実はこの男が公爵だった。その一方で、アトスはダルタニアンと間違われて逮捕されてしまう。ダルタニアンでないと判明した後も、牢に留置されたままだったため、トレヴィルは国王に訴えて、アトスを釈放してもらう。
王妃が自身の持ち物であるダイヤモンドの房飾りを公爵に渡した、との報告を受けたリシュリューは、国王に王妃と公爵の密会をほのめかし、舞踏会を開いてダイヤモンドの房飾りを王妃に付けさせるよう国王に進言。舞踏会の知らせを受けた王妃が絶望する様子を見たコンスタンスは、公爵から房飾りを返してもらおうと考える。それを知ったダルタニアンは、コンスタンスのために自分がイギリスへ向かうことにし、王妃が書いた手紙を預かり三銃士と共に出発する。
道中、次々にリシュリューの妨害を受け、三銃士がひとりずつ足止めされていくなか、ダルタニアンは、単身バッキンガム公爵のもとへたどり着いた。
大切に保管してあった房飾りを出してきた公爵は、飾りの破損に気づき、大急ぎで同じ物を作らせてダルタニアンに託した。そうして、無事に王妃は舞踏会でダイヤモンドの房飾りを付けることができた。
イギリスから戻ったダルタニアンに、コンスタンスから逢引の手紙が届いた。ダルタニアンは指定の家に向かったが、彼女の姿はなく家の中は荒らされていた。リシュリューの部下により誘拐されてしまっていたのだ。
ダルタニアンは離れ離れになった三銃士を探しだす。まずは、怪我をしたポルトスが静養中の宿屋に辿り着いた。次に、恋の悩みで悲観的になっているアラミスを見つけ、最後に酒蔵に立てこもっていたアトスを救い出した。三銃士をパリに連れて帰ってきたダルタニアンは、その功績が認められ正式に銃士隊に入隊した。
ダルタニアンは、コンスタンスを助け出すため、リシュリューの陰謀と関係のありそうな謎の美女ミレディーを尾行した。しかし、誤解から彼女の義兄であるウィンター卿と決闘する羽目になる。
誤解が解けたダルタニアンはウィンター卿と知り合いになり、ミレディーを紹介してもらう。ダルタニアンは彼女の妖艶な美しさに心を奪われるが、彼女の想い人がワルド伯爵であることを知る。そこで、ダルタニアンはワルドになりすましてミレディーと一夜を過ごし、彼女を侮辱する内容でワルドの署名入りの手紙を送りつけた。
手紙を呼んだミレディーは、ダルタニアンを使ってワルドに復讐しようと、彼を寝台に迎えいれた。自分が受け入れてもらえたと気を良くしたダルタニアンは、偽手紙のことを告白。ミレディーが怒りもあらわに立ち上がると、その肩には犯罪者であることを示す烙印があった。それを見たダルタニアンは慌ててその場から逃げ出し、アトスのところへ転がり込む。
銃士隊は戦地に赴いていた。そこでダルタニアンは、殺し屋から狙撃されたり、毒入りの酒が届いたりと、命を狙われていることに気づく。さらに、三銃士がリシュリューとミレディーとの会話を偶然聞き、ミレディーがバッキンガム公爵暗殺を命じられていること、そしてその見返りがダルタニアンへの復讐の援助だと知る。4人は、公爵暗殺の陰謀を知らせようと、アンヌ王妃とウィンター卿に向けて手紙を書いた。
手紙を読んだウィンター卿は、ミレディーを捕らえて居城に幽閉し、部下を監視につけた。この監視役が清教徒であることに気づいたミレディーは、自分も清教徒であるかのように振るまい、心を開いてきた監視役に、バッキンガム公爵に無理矢理意のままにされたと嘘を語る。すると、監視役はミレディーを逃がし、公爵の元へ向かった。ミレディーの策略に気づいたウィンター卿は公爵の元へ駆けつけたが、監視役に短剣で刺された公爵はすでに絶命していた。
ダルタニアンたちは、コンスタンスが身を寄せる尼僧院へ向かっていた。その尼僧院には、リシュリューに迫害された夫人のふりをしたミレディーが入り込んでいた。コンスタンスとミレディーが一緒に食事を取っているところへダルタニアンたちが到着したが、ミレディーはすんでのところで逃亡。食事に毒を盛られていたコンスタンスは、ダルタニアンの腕の中で息を引き取った。
その後、ミレディーは居場所を突き止められると死刑となり、銃士隊が見守る中で刑が執行された。
ダルタニアンはリシュリューに、これまでの事の顛末をすべて告げる。彼の利発で潔い態度を見たリシュリューは、彼を銃士隊副隊長に任命した。
戦争が終わり、ダルタニアンは新しい任務につき、三銃士たちは退役して、それぞれが新しい生活を始めたのだった。
【参考】
・Welcome to the Three Musketeers Club Japan
・三銃士 - Wikipedia
【MV】
TeamP「希望の旗のもとに」MV - YouTube
【歌詞】
2021/04/04 歌詞を削除いたしました。
【ひとりごと】
作者のアレクサンドル・デュマ・ペールは、華麗なる誘惑の原典「椿姫」の小説版作者アレクサンドル・デュマ・フィスの父親です。
父子でスターレス制覇です(* ´艸`)
原作小説は、文庫本2~3冊程度の長編です(児童書版もありますが)。なので、今回の概要は、エピソードをかなり端折っています。4人が中高生男子みたいに仲良くわちゃわちゃしてる微笑ましい感じとか、三銃士の個々の人柄や過去、恋愛事情等々。。。
そして、有名な友情の誓いの言葉。今回の歌詞にも反映されている箇所がありますが、フランス語で「Tous pour un, un pour tous」、英語では「All for one, one for all」となり、日本では意訳もあったりしますが、「皆は一人の為に、一人は皆の為に」とされることが多いようです。
フランス語原本では、手を重ねて誓いを立てるときの言葉なんだそうですが、翻訳物や映像作品では、これを合言葉に銃士たちが掲げた剣先を重ね合わせる演出が一般的となり、言葉とともに「三銃士」の象徴となっています。
今回の原典概要には、そのシーンを入れ込んでいませんので、気になる方は小説・映像作品をご確認ください。
おまけで知っておくと良いのが、この時代の貴族社会における恋愛事情です。
現代とは違って「結婚」と「恋愛」は切り離されて考えられ、婚外恋愛が常識となっています。騎士は身分の高い既婚女性に献身的に愛を捧げます。その見返りは愛に応える言葉だったり、ともすれば体の関係だったり。貴族の既婚女性にとって夫は恋愛対象ではなく、恋愛は独身の若い騎士とするものなのです。
羨まし… (¬_¬)
そういう時代だと知っておくと、本筋への理解も深まり楽しめるのではと思っています。